「分かりましたか?」——その「はい」を信じていませんか?
外国人労働者に安全手順を説明し、「わかりましたか?」と聞く。 返ってくるのは「はい」。でも翌日、同じミスが繰り返される—— 現場責任者から、こういった話を聞く機会が増えています。
これは外国人労働者の理解力の問題ではありません。 母国語でない言語で、聞き慣れない専門用語を、口頭だけで伝えようとすることに そもそも無理があります。 「伝えた」と「伝わった」は、まったく別のことです。
労働安全衛生法により、外国人労働者に対しても安全衛生教育の実施が義務付けられています。 しかし義務を果たすだけでなく、実際に理解させることが、 現場の事故を防ぐために求められています。 その手段として、多言語対応の動画教材が注目されています。
なぜ今、外国人労働者向けの安全教育が急務なのか
2025年の外国人労働者数は250万人を超え、過去最多を更新しました。 建設業もその例外ではなく、現場に占める外国人の割合は年々高まっています。
問題は人数だけではありません。外国人労働者の労働災害の要因として、 業務経験が短い場合が多いこと、日本語そのものの理解が不十分であること、 コミュニケーション不足により職場の危険の伝達・理解が不足していることが 指摘されています。 つまり、言葉の壁が、命に直結するリスクになっています。
さらに、2027年から始まる「育成就労制度」への対応など、 準備すべき事柄が少なくありません。 受け入れ体制を今のうちに整えておくことが、現場管理者にとって急務となっています。
よくある「失敗パターン」3つ
失敗① 日本語のままの口頭説明だけで済ませている
「通訳を挟めば大丈夫」と思っていても、通訳者が専門用語を正確に訳せているとは限りません。 また通訳者がいない場面での作業中、いざというときに判断できる知識が定着していなければ 意味がありません。「分かりましたか?」という問いに対し、 理解していなくても「はい」と答える場面は少なくありません。
失敗② 汎用の多言語テキストを配布して終わりにしている
厚生労働省や建災防が公開している多言語教材は、汎用的な内容としては有用です。 しかし自社現場固有のルール——入退場の手順、使用する重機の操作、 KY活動の進め方——は、既製品の教材では対応できません。 配布だけで終わると「渡した」記録は残りますが、「伝わった」保証はありません。
失敗③ 一度説明したら終わりになっている
雇入れ時に一度だけ安全教育を行い、その後はフォローしていないケースがあります。 作業内容が変わったとき、新しい現場に入るとき—— 建設現場に入場する前には、外国人労働者に対して安全教育を実施することが義務付けられています。 動画であれば、現場が変わるたびに繰り返し視聴させることが容易です。
多言語動画で「伝わる安全教育」を実現する
外国人労働者向けの安全教育動画に必要な要素は、大きく3つあります。
- 母国語の音声・字幕—— 聞いてわかる言語で説明することで、理解度が格段に上がります。 厚生労働省では英語・中国語・ベトナム語・インドネシア語など 11言語に対応した教育用教材を用意していますが、 自社現場のルールを盛り込むには自社制作が必要です。
- 実際の現場映像—— 抽象的な説明よりも、実際の現場で何が危険かを映像で見せることで、 「自分ごと」として認識させられます。
- 視覚的なアイコン・図解—— 言語に頼らず伝わる安全標識・禁止マーク・手順図を組み合わせることで、 言語の壁をさらに下げられます。
対応すべき言語はどう選ぶか
まず自社で雇用している外国人労働者の出身国を確認してください。 建設業で多い国籍はベトナム・中国・フィリピン・インドネシア・ネパールです。 全言語に一度に対応する必要はなく、現在在籍している労働者の母国語から 優先順位をつけて制作するのが現実的です。
また、日本語がある程度理解できる労働者に対しては、 日本語音声+母国語字幕という形式が、語学習得の面でも効果的です。
制作のポイント:「現場固有の内容」と「汎用内容」を分けて考える
すべてを自社制作する必要はありません。 一般的な安全衛生の基礎(保護具の着用・熱中症対策など)は 既製の教材を活用し、自社現場のルール・設備・手順に関わる部分だけ オーダーメイドで制作するという組み合わせが、 コストと品質のバランスとして最適です。
川口デザイン事務所では、高速道路会社の研修動画(24講座・約24時間)や 高所作業車の取扱説明動画など、建設・土木業界の動画制作を手がけてきました。 多言語字幕・吹替への対応も含め、シナリオ設計から現場撮影・編集まで一貫してお任せいただけます。 「まず1本だけ試したい」というご要望にも対応しています。 お気軽にご相談ください。
川口 伸二
川口デザイン事務所 代表 / グラフィックデザイナー
建設・土木・住宅分野のBtoBデザインに特化した専門家。埼玉県本庄市を拠点に、会社案内や製品カタログ、映像制作、安全教育教材の制作を行う。「デザインは貴社の顔であり、24時間働く営業担当者である」という信念のもと、単なる装飾ではない、落札率や成約率に直結する「勝てるツール」を提案。現場の仕様や業界特有の商習慣を理解し、泥臭くも成果の出る"唯一無二"の設計に重きをおいている。